贅プレビュー公演「ゴッド セーブ ザ クイーン」@中野劇場MONO 4F稽古場

(公演の案内よりあらすじ)

マンションの屋上。投身自殺自殺を遂げようとする女、神崎。飛び降りる寸前、その場に二人の男が現れる。明らかに自殺寸前の人を前に、全く動じない二人。逆にその二人の態度に動じる神埼。しかし二人は止める気は無いようだ。天野の言い分は、死ぬ覚悟はできているなら、もっと効率的に死んで欲しい、というものだった。手続きを任せてくれれば魂の適切な処理と、体のリサイクルができるというのだ。自殺は後処理が面倒らしい。困惑する神崎。天野は手続きの為に神崎に幾つかの質問をする。それを中央図書館と呼ばれるサイトで検索、照合する桜井。桜井は神崎の来世に注目し、ここで人生をリタイアさせるのは適切ではないと告げる。天野はなんとかして神崎の魂を現世で全うさせる方向に作戦変更。しかし既に神崎の人生は行き詰まっており、本人に生きる気力がなかった。神崎は自分の自殺の原因を話す。それに対し、天野と桜井はある解決策を提案する。

(感想)
若手の中でも力があり、各劇団では作・演出も手がける役者さんたち揃いで、おまけに脚本を担当しているのは、イキウメの前川知大さん。演目は以前イキウメの本公演で上演した短編集からの一編になります。素直には上演しなかったのはびっくりした半面、このメンバーだったらこういう方向性も考えられるのかなという想定と納得のできる部分もあった公演でした。出演が男優4人にも関わらず、演目のタイトルに「クイーン」が入っている時点で、ちょっとおかしいだろうとは思っていたのですけど…。
あらすじでは上に書かれているようになっています。確かにその通りなのですけど、
作品自体はまず役者さん達4人がこの脚本を読み合わせするシーンがあり、その後に、その読み合わせた脚本を基に稽古していくという変則的な劇中劇の形を取っています。この作品、イキウメの公演では、シュールなコミカルさを出しながらも全体的にシリアスな雰囲気がありましたけど、今回のプレビューでは、その脚本が見事な位遊ばれていて、全く違った作品になっています。当事者だから許されるという部分もあるかと思いますけど、パロディとしてはなかなか面白い作品だと思います。
脚本を演じる脚本という部分と、その中にアドリブを盛り込んでいくという組立てはスタイルとしてはなかなか興味深いとは思います。ただ「芝居中におならがあってもそれを無視しない」ということを基本的なコンセプトにしているという事は、あまり芝居を作り込みすぎると、もし「おなら」が出てもそんなに面白くないし、かと言ってあまりにアドリブに任せてしまうと演劇の神様が舞台に降りて来てくれないと観ている方も演じているほうかなり痛い事態になりますし、バランスの取り方がかなり難しいように感じました。やろうとしていることは面白そうなのですけど、脚本とアドリブとの関係にどうやって折り合いをつけていくのか、その答えが今回の段階では、まだ手探りの段階のように感じましたし、そのかなり難しい問題に、どういった答えを本公演で用意するのか?本公演が楽しみでもあり、不安でもあります。本公演では今回と違って脚本は書き下ろしのオリジナルのものを使うということなので、脚本レベルである程度観客を満足できるものを作っておいて、その中に役者さんの演技をプラス要素として載せていくという形になるのかなと思います。
プレビュー公演では、「公演の参考にするので感想を書いてください」と言われ、この感想文以上にどうしようもないシロモノの文章を書いてしまい強烈に後悔し落ち込んでもいるのですけど、ここまで来たら1月の公演まで見届けてやろうと思っています。