世田谷パブリックシアタードラマリーディング「ガレキ」@シアタートラム

(物語―公演の案内より)
「・・・・僕はずっと信じていた、赤ちゃんはスグリの茂みから見つかるんだって。コウノトリが運んでくるって話しも聞いた。受胎という奇跡によって僕らはこの世に誕生するって信じたこともあった、でもそうじゃない。赤ちゃんはキノコみたいに、ゴミの中から生まれてくるんだ・・・・」
(感想)
行こうかどうしようかかなり悩んだのですけど、1000円というお得な値段と、演出・赤堀雅秋さん、出演がみのすけさんと吉本菜穂子さんという豪華メンバーだったので、誘惑に負けて当日券で観に行ってきました。今回はイギリスのデニス・ケリーという劇作家の書いた作品がリーディングで取り上げられたのですけど、時間配置がバラバラでそれが説明もなく出てきたり、作品世界そのものが不条理なモノだったこともあり、聴いていても、絵をイメージするのが難しくて、途中までストーリーを追いかけるのにかなり苦労しました。
主人公の少年・マイケルがゴミの中から赤ん坊を拾ってきたり、妹を絞め殺そうとしたり、父親がどうしようもないロクデナシだったり、話の筋や少年の身の上はとても悲惨で結構ブラックでエグい描写もあったのですけど、それが悲劇でなく喜劇になってしまうという話でした。
私自身、ドラマリーディングというものに始めて行ったので、比較はできないのですけど、普通のリーディングっていうのは椅子に座って作品を朗読するというイメージがあったのですけど、今回は出演の2人が舞台を動き回ったり、寝転がりながら作品を読んだりと、場面に合わせて様々な動きが付いていたり、ライティングにもいろいろと工夫がされていて、視覚的にも面白かったですし、従来のリーディングのイメージが随分と変わりました。ストーリーは少し分かりにくかったですけど、物語のどこか不可解でシュールな雰囲気というのは良くでていました。
リーディング終了後に、赤堀さん、みのすけさん、吉本さんの3人と、今回の作品の翻訳をされた世田谷パブリックシアターの小宮山智津子さんとのトークがありました。
聴いてる方もかなり難解な作品だと感じたのですけど、演出する側や、演じる側にとっても同様だったいう話には、少しホッとさせられました。
今回のリーディングの準備を本来であれば2日間で終わらせる予定が、動きをつけてしまったために4日+飲み会分時間が掛かってしまったこと、3人ともほとんどリーディングを聴いた事も演じたこともないため、勝手が分からず苦労した事など、舞台裏のエピソードが聞けて面白かったです。
みのすけさんの「本を読み込みすぎると臨場感がでないし、かと言ってそれなりに準備をしないと普段稽古でやっている台本の読みあわせを見せているに過ぎず、その辺のさじ加減が難しかった」という話しは、役者さんならでは感性が垣間見えて、興味深かったです。