結城昌治さんの「終着駅」をやっと読み終わりました。去年古本屋でたまたま購入した「軍旗はためく下に」が大変面白い作品だったので、別の作品を読もうと思ったら、文庫がほとんど絶版状態で大変残念な思いをしたのですけど、気が付いたらそんなこともすっかり忘れてしまっていました。それを、再び思い出すきっかけになったのが、二ヶ月前に行った池澤夏樹さんの講演会のあと、池澤さんのホームページを覗いていた時です。ホームページの中に「賢者の本棚」という書評のコーナーがあるのですけど、たまたまそのなかで結城さんの「終着駅」が取り上げられていて、講談社の文芸文庫のシリーズで再刊されたという事を知って慌てて買いにいきました。ただ、いろいろありまして買ってから手に取るまでに二ヶ月近くも掛かってしまいました。肝心の池澤さんの小説も「読みたい、読みたい」と思っていつでも読めるように買って家に置いているのですけど、この調子だったら、読み終わるのは一体いつのことになるやら、と心配になってきました。結城さんの本ばかりではないのですけど、一日に書籍の新刊が何百点と出て、その大部分が増刷も掛かることなくいつの間にか品切れになってしまう、そんな今の出版業界の現状を考えると「書店に本を預けているから、欲しい時に本を買えばいいや」という考えがだんだんと通用しなくなってきているように感じます。ですから見つけた時に買っておかないと、その本と今度いつ出会えるかわからないといったことが起こる危険性があるので、書店に行くとついつい本を衝動買いしてしまうケースが増えてしまいます。そうして、積まれたまま手付かずになった本が増える一方になっていまうという悪循環が起こってしまい、部屋がきっちりと片付かない大きな原因になっていて、私にとってはかなり深刻な問題になっています。ときどき本を整理しようと思って整理術について書かれた本とか雑誌の記事を読んでいるのですけど、本に対しては「むずかしい」と逃げられてしまうか、「有無をいわずに処分しろ」という冷たい対応のものがほとんどで、いまだに「これだ」と思った整理法に出会ったことがありません。おかげで読んでいる途中に、何回本を地面に叩きつけたことか....。
なお、下のページが結城さんの「終着駅」について書かれた池澤さんの書評のページになります。結構、面白い記事だと思いますので興味のある方はのぞいてみて下さい。
http://www.impala.jp/bookclub/saishinsyohyo/cgi-bin/archives/000228.html