猫のホテルプレゼンツ 表現さわやか「ポエム」@駅前劇場

最近テレビでも活躍の多い、池田鉄洋さんの劇団内コントユニットの公演。一応、ダメ男が一目ぼれした女の子にその思いを伝えるというストーリー。なのですが、始まりと終わりだけは一応それらしい話があるのですが、基本的にはシュールなネタやヘンなキャラクター満載の何でもありの作品。自分も含めたお客さんの反応を見てると人によって笑いのツボが少しずつ違っている印象は受けましたが、トータルで見たら頭を空っぽにして楽しめる作りにはなっていると思います。ただ、正直ネタによってはクドいと感じたり、どうしようもなくくだらないダジャレオチや安易なシモネタで逃げるシーンも見受けられましたし、普通の劇団がまんまこの公演の通りに舞台で演じたら良くて苦笑いで悪ければ引かれるというレベルのものも中にはあったのは確かです。ただ、そんなくだらないものでも無理矢理にでも笑わせてくれる所は、役者さん達の強烈な存在感と、何もしていない段階で体や動きから漂ってくる濃厚なうさんくささとおかしさがあるからこそなのでしょう。多分、こういった作品が作れるのも、前提として役者さん達、特に猫のホテルの仲間たちへの信頼があるからでしょう。特に、村上航さんといけだしんさんの2トップは今回は見事な位の暴れっぷり。個人的にはこの2人とイケテツさんが絡んだマッスルミュージカルのネタが馬鹿馬鹿しくてツボに入りました。筋肉質だけど腹筋が割れていないイケテツさんの微妙にユルいボディーが2人の中に入ると見事な位、対照的で笑えます。今振り返ってみるとこのネタや冒頭のサモ・アリナンズ佐藤貴史さんがヌードデッサンでさらし者になってしまうシーンから始まってやたらと脱ぐネタが多かったような気が。観ている最中に何故か池上遼一さんの漫画を思い出し、心の中で一人ツッコミを入れる私。(ホントにどうでもいい話ですみません)
今回の公演、役者さんへの信頼感が面白さを生んだ大きな要因だとは思いますが、同時に、役者さんの頼り過ぎてしまったのが、ネタによって面白さの差が大きかった一つの要因ではなかったのではないでしょうか?特にそれを感じたのが、いけだしんさん演じる長井大の出るシーン。キャラそのものは結構面白いのですけど、ただでさえクドいキャラなのに、役者さんのなすがままで流してしまったため、面白いという地点を通りすぎてしつこくてうっとおしいという所までやり過ぎてしまったのが残念でした。
個人的にはまずまず楽しめましたけど、基本的にはイケテツさんや猫のホテルのファンや、シュールでくだらないネタが好きな人以外にはちょっとつらいかもしれないかもしれないので、必ずしも万人にはお奨めできない作品ではあります。ただ、不発した部分も含めて2時間弱の時間これでもかという位びっしりと笑いを詰め込み楽しんでもらおうとする、そのサービス精神の旺盛さには、心から頭が下がる思いがしました。