斉藤美奈子「読者は踊る」

読んでいて自分は踊らされる凡庸な読者でつくづく良かったと感じてしまった1冊。その切り口の鋭さと容赦のなさに痛快さを感じる一方、自分の好きな作家や本がけなされるとやっぱりむかつくあたり、自分は小者さをつくづくと感じてしまいます。
ただ、何が何でも人とちょっと違った切り口を見つけようとか、無理矢理けなしてみようとかいった部分があって、読んでいる途中にいくら優秀な読者でも、こんな本の読み方をしていたら、本を読んでいても楽しくないだろうなと心の底から同情してしまいました。気楽なように見えて書評家も難儀な仕事だなと思います。
ISBN:4167656205:DETAIL