ヨーロッパ企画「ブルーバーズ・ブリーダーズ」@ザ・スズナリ

(あらすじ)
企業を挙げて青い鳥を探すためにある山を訪れたプロジェクトチームの一行。目的地に着いてプロジェクトリーダーの指揮下のもと、さてこれから青い鳥を探そうという矢先にトラブルの数々が…。
ずさんな計画、まとまりもやる気のかけらも感じられないメンバー、欠陥だらけの探索装置に、救いようもないツキのなさ等、一行を襲う様々なアクシデントを乗り越えて、彼等は目的の青い鳥を見つけることができるのだろうか?
と、いうよりもその前に探す所までたどりつけるのだろうか?
(感想)
まず、最初に断っておきますけど、私個人はいま一つ笑えなかったのですけど、作品としては結構高度なことをやっていると思います。舞台は、青い鳥を探すところから始まって、舞台上に11人の役者さんが出ずっぱりで、一行にストーリーも前に進まずに、ドタバタとした形で進行していきます。1時間10分程度の公演時間だったのですけど、ストーリーらしいストーリーを作らずにここまで場をつなぎきるのは、ある意味凄いことだと思いますし、11人役者が出ずっぱりでおのおのの役者さんが舞台上でただダラダラと騒いでいるだけに見えて、作品として見せれるだけのレベルの秩序は残しておくさじ加減の絶妙さというのは、狙ってもなかなか出来ないものだと思います。ですから、こういう雑然とした雰囲気のドタバタ劇が好きな人はかなり楽しい作品だろうと思います。
設定や狙い所はとても面白いとは思うのですけど、ただ、それが観ていて楽しい芝居につながったかというと、私個人は残念ながら今回はそんなふうには感じられませんでした。小道具をふんだんに取り入れたり、会話やドタバタ劇お約束のアクシデントの数々をものすごくこまめに取り上げているので、笑いの量という部分では申し分なかったと思います。そして数打てば当たるというわけではないでしょうけど、これだけあちこちに笑いのネタがあれば、所々はそれなりに面白い場面もありました。ただ、逆にこれだけ執拗にドタバタしたネタでつないでいくと、多少つまらない部分がでてしまうのは致し方ないのですけど、11人好き勝手に騒いでいるために、うっとおしさや煩わしさが先に立ってしまい、つまらなさが増幅されしまう結果になってしまったのが何とも残念でした。更にそうなってくると、舞台上にいる彼等の肩の力が抜けまくった自然体の演技が、計算ずくでやっているだけに、ものすごくあざとさを感じてしまうという逆効果になってしまっているように感じてしまいました。
全体的にこれはこれで悪くはないのですけど、公演時間の短さといい、ストーリーなしでひたすら小ネタを積み重ねていく所といい、何か小手先で上手くごまかしましたという感じがして、個人的には今回はあまり好感が感じられない公演でした。あえてそうしていないのは分かるのですけど、もうちょっと公演時間をしっかり取って、筋立ての部分でも緻密さを作って、もっとがっちりと笑わせて欲しかったです。
自分の勝手な思い込みかもしれませんけど、本当はもっと面白いことが出来る劇団のハズなのに今回はどうしてしまったのだろうかという戸惑いを観終わったあとに感じました。それが本当に自分の思い込みだったのかどうなのか確認するために、いつかもう一回別の公演を観に行かないといけないかと思っています。