演劇集団キャラメルボックス「俺達は志士じゃない」@池袋サンシャイン劇場

かなり遅くなってしまいましたが、日曜日に行った公演の感想になります。
(あらすじ)
幕末の京都。新撰組に追われていた浪人・松吉(浅野雅博)と竹次郎(細見大輔)のふたりは、たまたま通りかかった岩国藩士・清之助(左東広之)に助けられてかくまわれることになった。どうやら彼等のことを坂本竜馬中岡慎太郎と勝手に勘違いしてくれたらしい。そこまでは、まあ、問題がなかったのだが、今度はその場所に本物の桂小五郎(西川浩幸)がやってくるという。新撰組の追求の手から逃れきっていないのに、また頭の痛い問題がひとつ。この八方塞がりの状況を彼等は切り抜けることができるのだろうか?
(感想)
この作品は、2度上演された作品の再演ということだったので、参考に前回1998年の公演のビデオを見終わったあとにこの文章を書いています。前回の公演と比較すると、もう別の作品と呼んでもいい位、様変わりしてしまっています。前回の公演では場面転換がとても早く、ドタバタしたコメディタッチの作品だったのが、今回は一場劇になっていましたし、喜劇ではあるのですけど、軽妙さやスピード感はあまりなかったように感じました。普段のキャラメルボックスの公演と比較してどこか野暮ったくて、じれったい部分があったのですけど、その分、ストーリーの重厚さ説得力や、登場人物同士のやりとりの面白さはありました。特に、主人公の2人が坂本と中岡に間違えられてかくまわれるまでのシーンが、前回の公演だとどこか唐突な印象を受けたのですけど、最初は2人のことを偽者だと疑っていた人間が、2人の意思とは別に勝手に勘違いして話しがドンドン変な方向に流れていく流れがかなりしっかりと描かれていて、改善されていました。
役者さんの中では、主役の松吉役を演じた文学座の浅野雅博さんは文句なく格好よかったです。ただ、浅野さんの見せ場の多い脚本や演出だったため、もう1人の主役の細見大輔さんがその分、割を食ってしまい、存在感がいまひとつ薄かったのが残念でした。
桂小五郎役の西川浩幸さんと女中役の坂口理恵さんの2人は、普段と違う演出にもしっかり対応しつつ、ここぞというところでは自分の持ち味を出しつつおいしい所を持っていくあたりは流石だなあと思いました。特に、坂口さんの緊迫した場面でのぼそっと出るツッコミの数々には、本当に笑わしてもらいました。
このキャストがどういう経緯で決まったのかは良く分かりませんが、今回は劇団の中でも、比較的、マキノさんの演出と相性のいい人や、誰の演出でも比較的器用にこなせてしまう役者さんを狙って集めたような印象がありました。
仮に始めて観たキャラメルボックスの公演がこの舞台でしたら、この劇団に対するイメージも随分違っていただろうなあと思います。正直「らしくない」お芝居だとは思いましたけど、見ごたえのあるお芝居を観たという充実感はありました。マキノさんの演出によって、いつもの公演とは一味違った役者さん達の魅力を感じることが出来たのも嬉しかったです。

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