マッスルハウス・2@後楽園ホール

後楽園ホールに行って、ものすごく久ぶりにプロレス(?)を見にいってきました。それもよりによって一番プロレスらしくないマッスルに。スポーツのカテゴリーでこの日記を更新するのは、これもものすごく久ぶりだったのですけど、果たしてあれをプロレスと呼んでいいのかどうかいまだに判断がつきかねています。自分の場合プロレスファンとしてのキャリアはそれなりに長いですけど、プロレスに対するこだわりはそれほど強くないので、要は面白ければどちらでもいいのですけどね。
内容的には休養を挟んでその前後で大きく2部構成らしきものなっています。前半はマンモス半田に新エースと評して試合中にさまざまな観客も含めてドッキリを仕掛けていくというストーリー。マンモス半田が別の選手を迎いに会場に離れている最中に、観客にドッキリを仕込むというストーリーだったのですけど、これだけで一時間近く掛かったのですけど、ここはかなり笑えました。ただそのあとのドッキリを仕掛けるところが、あまりにも展開が強引過ぎてどう見てもマンモス半田にバレバレだったのと、半田自身の試合やキャラクターが主役を担うにはあまりにもしょっぱすぎたために、個人的には正直いま一つ面白くありませんでした。ドッキリバレバレを承知でどうやってオチをつけるのか楽しみにしていたのですけど、マンモスが最初から知っていて、騙したはずのマッスル坂井が逆に騙されていた、というストーリーだったのですけど、もうヒトひねり欲しかったです。それでも、途中の仕込みまでが面白かったのでまずまずというところでした。たらればになってしまいますけど、もし怪我で欠場したゴージャス松野さんが主役だったらそれなりに面白い絵になっていただっただろうと思うと、今回の欠場は本当に残念でした。ゴージャス選手の欠場が大きな痛手に感じてしまうのは、日本のプロレス興行のなかでも、おそらくこのマッスルだけでしょう。
休憩後の後半戦は、最初はアントーニオ本多とDDTのフランチェスコトーゴーとの試合でスタート。マッスルのなかではものすごく珍しい、普通のプロレスをしています。ほとんど素人同然の本多相手でもきちんとした攻防を成立させてしまうトーゴー選手の職人芸に、ただただ見入ってしまいました。
その後、いくつかの小さなネタが出てきた後、とうとう今日のメインともいえる大鷲透選手が力士姿の三和太を引き連れて登場。会場の盛り上がりも最高潮に。後楽園ホールで翌日仮装大賞があるため、その準備のためにテレビでおなじみの、得点が表示される電光掲示板が会場に登場して、マッスルのレギュラー陣と大鷲選手が満点のプロレスを目指すというストーリー。三和選手のムーブを真似したり、マッスルお約束のクライマックスのスローモーションのシーンで刀で斬られてみたり、普段の弱いものいじめキャラからは考えられない弾けっぷりで、美味しいところを一人で持っていっていました。ある意味卑怯な飛び道具といったところでしょうか。
今回、始めて会場で見たのですけど、全体的には前半戦いま一つだったのを、後半戦で帳消しにして結果的にはかなり面白かった、といったところでしょうか。テレビで見ているのと違った臨場感があってこれはこれで面白かったのですけど、一方で会場に行ってしまったので楽屋裏が見えてしまったという部分があって、試合を見ていて少し興ざめだった部分がありました。特に、別の選手を迎えに行っていてその場にいない設定にも関わらず、大会前に会場の売店にマッスル半田選手がいたり、売店で何の脈絡もなく大鷲選手のグッズが売っていて、大会の前に大鷲選手の登場が分かってしまったりした部分については、「上手く仕掛ければもっと面白くなるのに」とその脇の甘さが残念で仕方ありませんでした。そういったことを全て理解した上で楽しむというのが、マッスルの正しい楽しみ方なのでしょう。そういった楽しみ方のできる「いい」お客さんがたくさん来てくれている一方で、「ここにいるお客さんなら分かってくれるだろう」という作り手の側の甘えというが少しあるかなあ、そういう部分があるのが少し見受けられたのが少しだけ残念だなあ、って感じました。ただ、ここに来ているお客さんたちは、元某老舗団体のリングアナウンサーの言うような「ぬるい」ひとたちでは決してないと思いますし、オリジナルよりもパロディのマッスルの方が面白いという状況のほうが由々しき問題なのではないか、って思いました。