沢木耕太郎さんのサイン会に行く

紀伊国屋書店新宿南口店で行われた、沢木耕太郎さんの「危機の宰相」のサイン会に行ってきました。今回は他に予定があったのですけど、ごくごく個人的で自己満足な理由からどうしても行かなくては、と思って行く事にしました。
それは、去年行ったカシアス内藤さんについての講演会の話しに遡ります。沢木さんのノンフィクション小説の傑作である「一瞬の夏」、その主人公が元東洋太平洋チャンピオンのカシアス内藤さんです。その時の講演会では「一瞬の夏」の物語の後の、カシアスさんの軌跡についての話がありました。その中で、カシアスさんがボクシングをやめたあとにさまざまな職業を転々としたり、今は俳優をしている元日本チャンピオンの大和武士さんのトレーナーをした話しやなどをされていました。そのなかで特に感銘を受けたのがノドに癌を患いながらも、それを克服し念願のボクシングジムを開いたという話しです。ジムを作ろうとしたにも関わらず、さまざまな事情から二度失敗し、挫けたり折れそうになったりしながらも目標に向かってにじり寄っていこうという姿、講演会を聞いた時に、そんなカシアスさんの話しや、それに対してともに何とかしていこうとする沢木さんやカメラマンの内藤利朗さんの姿に深い感銘を受けました。
その後、私自身が体調を崩し長期入院することになってしまったのですけど、入院生活を送る上で自分のなかでものすごく力になったのが、その時のカシアスさんの闘病生活の話しでした。ですから、そのことについてひとこと「ありがとうございました」が言いたい、ただそのために今回のサイン会に行く事にしたのです。ですから折角サイン会という機会をつくっていただいた、出版社や書店の方たちや沢木さん個人には本当に申し訳ないと思いました。本当に独りよがりの自己満足だと思う。けど、どうしてもそのひとことが言っておきたかったんです。この事は、一読者として、後日作品をきちんと読ませていただくことでお許し頂けたらな、と思います。
自分の言葉が拙かったためどこまで伝わったかどうかは分かりませんけど、自分が伝えたかったひとことが言えたことが私のなかではとても嬉しかったです。もう少し体調が良くなったら横浜にあるカシアスさんのジムの方も見に行ってみようかと思っています。沢木さんの話では、「出来て二年目を無事迎えたし、小さいけど、ジムの若い連中もみんないい奴ばかりだから」ということでしたので、邪魔にならないところでちらっと見るだけでもいいので、一度顔を出してみたいです。
去年の講演の記録については下の日付の日記に書いてあります。私自身もひさしぶりに読んだのですけど、「こんなこと書いていたのか」とかなり恥ずかしかったです。ホンネを言うと、消せるもんなら消したいです。
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