山田ズーニー「おとなの小論文教室」

この本には小論文が上達するための技術的なことはあまり書かれていません。その代わり文章を書く上で技術の上達以上に大切にも関わらず、他の文章の本ではあまり触れられることのなかった「いかに文章のなかに自分の気持ちを込めていくのか」、その方法について作者の経験に基づいて様々な角度から語られています。
読んでいて最初のうちは「文章を書くことそのものっていうのは、もっと気軽にできるものなんじゃないだろうか?突き詰めていくと確かにその通りなんだろうけど、文章を書くためにここまで自分を深く掘り下げていく必要があるのだろうか?」って思っていました。
けど、そう思いながら読んでいると、自分のなかでどこか妙に心に深く突き刺さる部分がある。それは、「自分の本当の気持ちを相手にどうやって伝えたらいいのか?」という漠然としながらも常日頃から抱えている自分の心の中の疑問に強く引っかかる部分があったからであり、それに対して作者の山田さんが真摯に考えているからだと思います。最近の日本語ブームに見られるように、以前より言葉に対して興味を持つ人が増え、私自身も「言葉を増やす」ことは重要なことだと思っています。ただそのそういったこと以上にもっと大切なことがある、ということをこの本で学ぶことができました。
ISBN:4309017444:DETAIL