清水義範・西原理恵子「はじめてわかる国語」

この本の作者の清水さんは「国語入試問題必勝法」の作者でもあり、教育大出身で国語についてのエッセイもいろいろ出している、ということでこの二人のコンビで書いている科目シリーズ(というかお勉強シリーズとでもいうのでしょうか)の中では内容的にもっとも面白いに違いない、と思って読む前から期待していたのは、私だけではないかと思います。日本の国語教育についてとか、現代の若者の言葉の使い方や、漢字や文章読本についてなど、まさに「国語」の問題点について縦横無尽に語っていて、おまけに作者の他の科目についてのエッセイと比較して着眼点も面白く、そういう点ではもともと高めに設定されたハードルをキチンとクリアした、実によくできた作品だと思います。ただ、読み終わってみて「どんなことが書いてあったかなあ」と思い返してみると、思い浮かぶのは、清水さんのタメになるお話しよりも、本編の内容とあまり関係のないサイバラさんのイラストによる強烈なツッコミや、清水さんとの対談で過去の文章読本について痛快に斬りまくった斉藤美奈子さんだったりしてしまいます。文章を書いている清水さんから見たら、それが美味しくもあり切ないところだろうなあと、本書の内容とは全く関係のないことを考えてしまった私でした。
国語入試のパロディで書いたはずの「国語入試問題必勝法」が本当の入学試験で使われてしまい、そのなかで「どのような風潮を面白おかしく書いていますか」という選択型の設問に対して、「どの選択肢も違うのですけど」とつっこむくだりには笑わしてもらいました。
ISBN:4062752727:DETAIL