沢木耕太郎「地図を燃やす−路上の視野<3>」

「路上の視野」のシリーズの最終巻。この巻では「異国」と「自身」というテーマで、主に国内外での体験談や作品の裏話・後日談について語られています。エッセイによっては雑誌に掲載されていた他の作品と内容が重複しているものがあったりして、私にとっては内容的に少し新鮮さにかける部分もありましたけど、それでも「深夜特急」の後日談のエピソードなどもあって結構楽しく読めました。1巻の感想の所でも少し触れましたけど、この作品が書かれたのは1970年後半から80年代前半にかけてなのですけど、当時と比較して作者の沢木さんの作品や対象に対するスタンスや軸線は、深化することはあってもブレることはないです。そう考えると、沢木さんの作品に対する作法やスタイルといったものは、実はこのころに確立したものであり、この作品が書かれたのもノンフィクション作家としての自分を再確認するためというのも大きな動機のひとつだったのではないだろうか、と思いました。
ISBN:4167209071:DETAIL

1巻の感想 id:ike3:20060228
2巻の感想 id:ike3:20060303