本上まなみ「ほんじょの虫干」

入院していた時に見たTVの中で、面白いと思って楽しみにしていた数少ない番組にNHKのトップランナーがあります。その前は殆んどといっていい位見ていなかったのでもっと早く見ておけば良かったと悔しかったのと同時に、MCをやっている本上まなみさんのことがいいなあって思ってしまいました。今まではただのキレイなだけのグラビアあがりの女優さんというイメージがあったのですけど、番組で時折見せるこの人の感性の鋭さと頭の回転の良さに「このヒトはただもんじゃないぞ」って思い、気が付いたらゲストよりも本上さん目当てでTVを見ていました。
と言う訳で「そういえば本上さんってエッセイ書いていたよなあ」って思って手にしたのがこの本です。TVで見ていたときのように本の中でも鋭い感性や、頭の良さというのは分りますし、この人のいい意味で育ちのいい素直さとか伝わってきます。ただ、残念なことに読んでいてどうもしっくりと来ない。文章自体は悪くないのに何故なんだろうか、って考えてみますと、どうやら私がこの作品とどう距離をとっていいのかが分らないことに原因があるのではないだろうか、と思ったのです。というのも、本上さんの文章が素直で「お行儀がいい」反面、一方でもともとはこの文章がアイドル雑誌の連載されていたということもあって所々に妙な「フレンドリーさ」というものを感じてしまうのです。私はこの「お行儀のよさ」と「フレンドリーさ」とのギャップに対して、文章に対して礼儀正しく向かい合えばいいのか、それともなれなれしく近づいていけばいいのか、それが分からずに戸迷ってしまうのです。
それでも正直、私とは、感性も、本の趣味も、正確の素直さも、対極と言っていい位全く違うにも関わらず、そのことが逆にものすごく新鮮で「へぇ」って思いながら楽しく一気に読めてしまいました。文章や年齢を重ねていくことによって面白い作品を書きそうな人なので、問題の違和感が解消されているのかどうか、他のエッセイもそういったところに自分なりに注目して読んでみたいと思っています。
ISBN:4101028214:DETAIL