以前、何年か王子近辺で働いていたことがあったのですけど、私用があってそれ以来久しぶりに王子に行きました。当時と比べて、建物とかテナントとか一部変わった部分はありましたけど、基本的な街並みは変わっておらず、相変わらず飲み屋が多いブルーカラーな街だなあって思いました。王子に住んでいる方には大変申し訳ないんですけど、べつにみなさんの住んでいる街を馬鹿にしているわけじゃあないんです。私だって基本的には好きですよ、王子の街。ただ、当時は会社が終るとかなりの頻度で飲み歩いていたんで、当時のことを思い出そうとすると「そういえばあそこの飲み屋でだれだれと飲みに行ったなあ」という形でしかどうしても思い出せないだけなんです。そういったことも含めていろいろな意味で本当に懐かしかったです。
幸い、私用の方も昼過ぎに終ったのでこれからどうしようかと思ったら、たまたま王子小劇場でお芝居の公演があったので、それを見て、そのあと家に帰りました。当時はお芝居とか全くといっていい位興味がなかったので、劇場の近くの居酒屋で散々飲んだり、目の前をそれこそ何十回も通ったにも関わらず、つい最近まであるという存在自体気が付きませんでした。「興味がない」ということと「存在しない」ということとは案外と距離が近いということの表れなのかもしれません。今考えると何とももったいないと思いますけど、当時の私にとってそこは「そこにあるけど存在しない」場所だったのですから、仕方ないです。