先日日記で書いた通り、講演会に行くために、池澤夏樹さんの「異国の客」を読んでいたら、作中に本を整理するくだりがあり、「そういえば自分の本棚もかなり悲惨なことになっているな」ということに今更ながら気付き(正確に言うと気付かなかったフリをしていた)、居てもたってもいられなくなり、本棚の本をいる本といらない本に分け始めだしてしまいました。そうしたら、かえって本棚の収拾がつかなくなり、途中でめげてしまい、こうしてパソコンに逃避することになりました。

人は過去を振り返って成功と失敗の累積を見る。それらを一つ一つ数え上げて自分の人生の図を描く。その一方でしかし人生は実現しなかった企図の束でもある。普通はそれらは右から左へ忘れられてしまうのだが、本棚にはその断面が歴然と見える。それを一個また一個と処理してゆくのは淡い哀感を伴う不思議な作業で、情感をゆすぶることだった。(「異国の客」より)

片付けた本>買った本、という不等式でしか本の整理を考えていなかった私にとって、この考え方はかなり新鮮で、そのため本の整理というものが自分にとっていつかはやらなくてはいけないことであると同時に、自分になにか新しい発見をもたらしてくれることのように思えてしまったのです。結果としてはギリギリのバランスで成り立っていた本の生態系を破壊してしまうことになったのでした。


実は日記を再開する前に読んだ本なのですが、半分読書ノート代わりに書いているこの日記で、これから感想を書こうと思っている本の感想を書く時に、どうしても挙げておかないとうまくその感想が書けなくなってしまった本があったので、ここで挙げておきます。