「いとうせいこう×奥泉光 文芸漫談シーズン2」@北沢タウンホール

土曜日(22日)は、早朝に仕事が入ってしまったため、2時からのSSMFは泣く泣く断念。私が勝手に立てた「22日はいとうせいこうの日計画」は早々に瓦解しましたが、その替わり、7時からの文芸漫談の方は、滅多に本を読まない知人を半ば無理矢理引っ張りだすことに成功し、現地で待ち合わせて二人で見に行ってきました。
今回は奥泉さんの得意な漱石ということもあって、いつも以上にかなり深くまで作品を読み込んでいて、なかなか面白かったです。
もともと、漱石の「坊ちゃん」って、世間で言われているような痛快な話だとは全く思っていなかったのですが(特に、坊ちゃんと山嵐が赤シャツ達を殴った所で、学校内の彼の地位が揺らぐ訳でもなく、うらなりとマドンナがヨリを戻すわけでもないとこなんか)、今回の漫談では、それをベースに「坊ちゃん」=「他人とコミュニケーションができない人」という切り口からの話が多かったです。
言われてみれば、奥泉さんの指摘通り、作中ですぐ癇癪を起こすわりに、それは思っているだけで、相手に向かって直接文句を言っている場面は意外なほど少ないですし、学生達との一連のやり取りでの坊ちゃんの対応は相手ときちんとコミュニケーションできない人間がテンパってしまった時の対応そのものです。
あと面白かったのが、せいこうさんの松山へのツッコミ。あんだけ漱石にバカにされてるのに、怒るどころか「坊ちゃん、坊ちゃん」って松山の人間はおかしいんじゃないか、というのは全くおっしゃる通りで爆笑ものでした。
今回始めての知人を連れて行って改めて感じたのは、奥泉さんとせいこうさんの会話の上手さ。奥泉さんのことを良く知らない連れに、「あの人は芥川賞作家だから」と説明してもなかなか納得してもらえませんでした。もっともこれは、せいこうさんがツッコミ役に徹して奥泉さんの面白さを引き出していることも大きいかと思います。
次回は、11月26日にシアタートラムでカフカの「審判」を取り上げるそうですが、実はそのことを結構早くから知っていたので、トラムでやる舞台のチケットとのセットですでに購入済みです。

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