中沢新一「三位一体モデル TRINITY」

書かれていることは面白いけど、要はキリスト教の思考をモデルにした目新しさのない考え方だろうと最初は思っていました。ただ、その印象が変わったのは、巻末に載っている講義を聴いた人の座談会を読んだ時。ピントはずれかなと思える部分も含めて、このモデルを使って実にさまざまなことを考える手掛かりになるんだということに気が付き、たわいのないということが、幅広い普遍性を持っているということの裏返しだったんだということを実感。
この本の価値というのは、その中に書かれている各論よりも、むしろモデルを提示したことそのものにあるんだろと思いました。
isbn:490251608X:detail