中山元「高校生のための評論文キーワード100」

自分の文章を読み返すと、その表現の貧困さと語彙の乏しさにうんざりしてしまうことが多々あります。そこで、それではどうすれば手っ取り早く改善できるかを考えてみます。(この場合「手っ取り早く」ということが何にも優先されます)
考えた結果「そうだ、言葉を増やせばいいんだ」という結論にたどり着き書店に行ってみると、「高校生」という部分は少し気になるもののまるでそんな私のためにあるようなタイトルの本を新書売り場で見つけて読んでみる事にしました。私でもなんとかなりそうだと思った理由は、一項目が2ページにまとめられたコンパクトさと、この手の本にしては比較的簡単な言葉が使われているためです。書かれていることは決して新しくもものめずらしくもないのですけど、数多くのキーワードのなかから選ばれた100のキーワードは確かに大学入試の論説文のなかに出てきそうなモノばかりですし、キーワードを選別して内容に関わらず2ページにまとめるという作業はかなり大変だっただろうかと思います。人によっては「ありきたり」だとか「もの足りない」といった印象を受ける可能性があるかとは思いますけど、最初から「手短に」、「ツボを押さえて」という狙いで本作は作られているのですから、逆に「ありきたり」で「もの足りない」ということは本作に対する褒め言葉だとさえ言えるでしょう。私にとっても、どの言葉を、どの程度理解しているのかを知るうえでいいチェックリスト代わりになりました。
ただそうやってチェックしていると、ほとんどの言葉が正しく理解できていないうえに、キーワードを理解しようとするとチェックしたそばからそれを忘れてしまうので、当初の「言葉を増やす」という私の目論見はものの見事に失敗に終りました。キーワードが100個もあると一見ものすごいお得感があるのですけど、野球の千本ノックと一緒で、スタミナと根性が付くというメリットはあるものの、労力に見合ったほどの効果は得られないなあって思いました。
ISBN:4480062424:DETAIL