SWITCHイベント「日清食品“NO BORDER summit”」@紀伊国屋サザンシアター

先日日記で書いたとおり紀伊国屋ホールでやったSWITCHのトークイベント“NO BORDER summit”に行ってきました。第一部は写真家の石塚元太良さんと、小林紀晴さんと俳優の伊勢谷友介さんの三人で「体感されるNO BORDER」というテーマによるトークセッションが行われました。内容的には三人のそれぞれの写真を見ながら、写真や映像についてや、旅先で起こったことや感じた事、そしてそこから感じる国境についてなどの話がざっくばらんな感じで語られました。時間の関係もあって第一部の方はざっくばらんな半面、ちょっととりとめのない感じがしましたけど、話自体は結構面白かったです。一見ピンボケした写真なんですけど、強烈な存在感があり、なんかそこに写されている人のことをもっと知りたいと思わせてくれる石塚さんの写真と、伊勢谷さんのお茶目なトークが印象的でした。
その後、休憩を挟んで第二部は音楽プロデューサーの小林武史さん、CMプランナーの高松聡さん、日清食品中沢信一さんの三人で「意識としてのNO BORDER」というテーマで話がありました。どちらかといえばイベントとしてはこちらが本命で、高松さんが日清食品に“平和”をテーマにCMのプレゼンを行い、それが社内で採用されていく経緯や、テーマ曲としてMR.CHILDRENの曲が使われるようになったいきさつ、更には、CMに込められたメッセージの意味についてとか、撮影中の苦労話、CMが放映されたあとのエピソードなどについての話がありました。彼等の送るメッセージに共感できるかどうかは別にして、コマーシャルを作っていく過程やその裏話として単純に面白かったですし、一方でオンエア中止になったCMの話なんかを聞いていると、CMという媒体で一企業が“平和”というメッセージを送る事の困難さや、それを受け取る私達がどう捕らえるかということの難しさというのを感じました。本や言葉よりも、写真や映像や音楽といったものの方が分かりやすくて、私達に訴えてくる訴求力が大きいと思います。例えば、戦争の悲惨さについて訴える場合、何百ページもある分厚い本を読むよりも、一枚の写真を見た方が雄弁に語ってくれたり、強い衝撃を与えてくれるケースというのは結構あると思います。それだからこそ、受け手に強いメッセージを発信できる半面、受け手側の受け取り方を限定してしまう危険性というのが多分にあります。高松さんの言うとおり「強制して見せるメディア」であるCMの中でメッセージを伝える事の苦労と壁があるのだと思いますし、その結果できあがった抽象的な映像に、ミスチルの桜井さんのストレートな歌詞になったという話はとても印象的でした。
SWITCHのイベントに行ったのは、入院前に行った片岡義男さんのイベント以来久しぶりだったのですが、行こうかどうか悩んだあげくながら、行って正解でした。そういえば片岡さんのトークショーに行った直後に入院してしまったので、トークショーの記録を整理したにも関わらずこの日記に書いていないことを今になって思い出してしまいました。今回のトークショーの細かい記録ともども、もし時間があったらそのときに載せれればいいなあって思っています。
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