片山恭一「ジョンレノンを信じるな」

八年間付き合ってきた恋人を失ってしまった僕。そのあまりにも大きすぎる喪失感のなかで、同じ大学に通う女性に出会い付き合うが、どこかリアリティに欠けるものだった。そんな中、僕はある出来事に遭遇し、夢の中で、ジョンレノンと出会う。
大切なものの喪失、とその傷みを抱えながら生きていく主人公というモチーフは、以降の作品でも見られる傾向があり、作者が一貫して訴えているテーマではないでしょうか。そう考えると、「世界の中心で、愛をさけぶ」の原点にあたる作品という評価は妥当と言えるでしょう。ただし、後の作品と比較して、ストーリーもテーマの掘り下げ方がやや甘いなあと言う印象があったのと、ジョンレノンが生きていた時代の事や彼自身のことが、いま一つ良く理解できなかったせいで、いま一つ作品に入り込めませんでした。
ISBN:4094080333:DETAIL